差別化が難しい求人広告。その理由と効果的な打ち手・施策を紹介

求人広告を作成していると、どれも似たり寄ったりになることが多々あります。より正確には、似たり寄ったりになるのを避けながら作るのです。つまり、放っておけば似たり寄ったりになるのですね。企業規模や事業・仕事内容が似ているのは仕方ないとしても、なんとか自社らしい特徴を出そうとして出しているはずなのに、どうしても似通ってしまう。なぜそうなるのでしょう。理由は主に2つです。一つは、優良な企業はどこも同じようなことをしていること、もう一つはターゲット設定(セグメント)が十分にできていないことです。一つ一つ解説します。

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求人広告を出す企業は、基本的にどこも優良企業

まず抑えておいていただきたいのは、「求人広告を出す企業は、基本的にどこも優良企業」ということです。特に有料の求人媒体を利用する企業は、ほぼ間違いなく優良企業です。今さら説明するのも気が引けますが、業績が好調で今後の成長を見越せない限り、求人を出すことはまずありません。しかも、人材を一人採用すると育成や給与支払いなどで相当にお金も手間もかかるのに、さらにお金をかけて求人を出すのですから、ある程度の経営基盤も資金もないと、できる行為ではないのです。

また、有料の求人媒体のほとんどは、契約・出稿にあたり審査があります。社会保険が完備されているか、給与が明示されているか、勤務時間に違反はないか、公序良俗に反する事業ではないかなど、企業としては極めて当たり前ことなのですが、条件を満たしている企業は実はそれほど多くはありません(ハローワークを含め、無料の求人媒体はこのへんの審査はゆるゆるです)。

毎月、数千の求人広告が出稿されています。定期的に中途採用を行っていると、それが当たり前のように感じるかもしれませんが、採用すること、有料の求人広告を使って募集をかけることは、やはり特別なことなのです。

優良企業はどこも同じようなことをしている。

上記を踏まえ、強調したいのが、「優良企業はどこも同じようなことをしている」ということです。事業上の戦略はもちろん、採用力向上のための取り組みが似ているのです。例えば、「企画から製造まで一貫体制」は業界内ではできる企業は限られていると思います。だからこそ売上が上がり人材募集となるわけですが、その限られたことのできる企業が同じように有料の求人媒体を使っているので、有力な差別化とはなりにくいのです。

採用力向上の取り組みについては、真っ先に挙げられるのが就業環境の改善です。特に昨今は「ブラック企業」「働き方改革」の掛け声が激しくあるので、残業月20時間以内、年間休日120日以上、転勤なしなどの文言が飛び交うようになりました。また、経験はなくてもいいからとにかく人材が欲しいと、研修充実、資格取得サポートを掲げる企業も少なくありません。特に採用難が続くIT系エンジニア、施工管理などの募集で、就業環境や研修・教育に関する訴求を多く見かけるようになりました。

就業環境や研修・教育体制の整備が進んでいなかった時は、これらのことは大きな目玉となりました。しかし、あっという間に多くの企業が追随してきたので、大きな差別化とはなりにくくなったのです。最近では、月20時間以内、年間休日120以上、転勤なし、研修・教育体制充実は半ば当たり前になってきたので、企業努力には目を見張るものがあります。

※これらのことは、差別化にはなりにくくなりましたが、訴求にならないということではありません。その点は誤解なく!

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似たような人材をターゲットにしている。

差別化を図れない大きな要因として取り上げたもう一つが「ターゲット」です。このターゲットについて深く考えることが、差別化はもちろんのこと、採用の大きなカギを握ると、私は考えています。

多くの企業はこぞって「優秀な人材」を採用しようとします。優秀な人材を求めるのは当然のことなのですが、考えなくてはならないのが、「自社にとって」優秀な人材とはどんな人か、ということです。

なぜ自社にとっての優秀さを考慮しなければならないのかというと、求人広告で大切なことは「ターゲットに合った訴求をすること」だからです。ターゲットがどんな課題を抱え何を求めて転職するのか。それを熟考した上で訴求内容を決定するのが、求人広告の基本的かつ重要な考え方であり制作の流れでです。これは、求人広告に限らず、他の採用コンテンツも同様です。

この点を無視して、ぼんやり「コミュニケーション能力があって、地頭が良い人」などとターゲット設定をしてしまうと、訴求内容もとてもぼんやりとしたものになります。「うちの事業は独自性がある、就業環境も良い、どうだ」とするのが陥りがちなパターンで、要するに、どの企業でも当てはまる、予定調和的な内容になるのです。

ターゲットは何を求めているのだろうと深く考えることで、大きな差別化が図れます。自社の求める人材になぜ自社がいいかを説くのですから、他とは違ってきます。こうして作り上げられた求人広告は、いかにも貴社らしく、かつ訴求力の強いものとなっているはずです。

やや余談になりますが、コミュニケーション能力や地頭に重きを置いてもいいのです。ただ、その際はそもそも「自社にとって必要な」コミュニケーション能力や地頭とは何かをもっと考えなくてはなりません。単に「求める能力 コミュニケーション能力」と書かれると、相当警戒してしまいますし、何ができればいいのかが不明で応募しづらくなります。一方で、「お客様にきちんとした挨拶ができること」などと表記されていれば、自分にできることなのか判断でき、応募への阻害要因にはなりません。

ターゲットに気づいてもらうことも訴求になる。

実は求人広告(他の採用コンテンツも含めて)には、「ターゲットに自分がターゲットだと気づいてもらう」役割があります。そして、ターゲットに気づいてもらうことが、そのまま訴求になることもあるのです。例えば、「一日中スマホをいじっていられるのも、立派な能力」みたいな感じでキャッチコピーにできます。

要するに、強力なアッテンションを示すのです。求人広告を見て、「あ、それオレ得意だわ」「これ、私のことじゃん」と、ターゲットが気づいてくれたらしめたもの。活躍のイメージを抱かせることで、応募へとつなげます。

なお、この訴求をする時は、通常はマイナスになることを美徳として訴えることが多いです。「求む、言われたことを言われた通りにする人」「仕事中、笑顔になってもらったら逆に困ります」などという感じです。
※この手の求人広告の作り方などについては別途、詳しく説明します。

他の企業と差別化を図りたいという要望は、つまり、他社より目立たせたい、人材採用を実現したいという意味と同等です。そこを履き違えると悪目立ちする方向に行ってしまいますが、本来の目的を達成するためには、「ターゲットをセグメントし、ターゲットに沿った訴求をすること」がもっとも最適な選択となるでしょう。このことをしっかりと頭に入れ、自社にとってベストな人材の採用に結び付けてください。

まとめ

・事業の特徴や就業環境で差別化は難しい。
・有料の求人媒体を使う企業は、どこも同じような取り組みをしている。
・差別化はターゲット設定で行うのが有効。
・ターゲットが異なれば、訴求内容も異なる。
・求人広告(採用コンテンツ)はターゲットに合った訴求をすることが大事。
・ターゲットにターゲットだと気づいてもらうのも求人広告(採用コンテンツ)の役割の一つ。

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