新卒と中途の求人広告の違い。中途で求められる内容と訴求点とは

国内で採用というと新卒採用を指すことが多いのですが、新卒採用と中途採用で、求人広告に違いはあるでしょうか。同じ求人ですので、根本の部分は共通することが多くあります。しかし、違いはあります。今回は、新卒採用と比較しながら、いかにも中途採用らしい求人広告、その訴求点と全体の傾向を解説したいと思います。

※中途採用と新卒採用の違いについては、こちらの記事もご参照ください。

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求職者の本音に応える

中途向け求人広告の大きな特徴の一つは「求職者の本音に寄り添う」ことでしょう。求職者がなぜ転職をするのか。転職してまで実現したいこと、あるいは、避けたい現状は何なのか。そこに踏み込んでいきます。ここに、働くことや会社勤めをすることが未知である新卒者に向ける求人広告との大きな差異が生じます。なぜなら、働いてみて、会社勤めをしてみて、わかることが多くあるからです。つまり、一度は働くことや会社の現実を目の当たりにしているのですから、例えば、新卒者に向けて好んで語られるやりがいなどは、多くの場合、中途入社者にとってはやや物足りない既知の情報となってしまうのです。

一方で、中途入社者向けに語られる本音は、新卒者にはやや行き過ぎで、ピンとこない可能性もあります。また、希望する仕事をしたいとの思いを持つ中途入社者に提示する仕事内容は、新卒者にはやや高度で理解のしづらいことも多いでしょう。このことから、中途と新卒、双方に向けた「やりがい」や「仕事内容」は異なる内容であってしかるべきかもしれません。

では、中途入社者の持つ本音とはどんなものか。列挙すると、「残業を減らしたい」「もっと休みたい」「転勤したくない」「通勤が大変になった」「給料を上げたい」「今の仕事が面白くない」「今の職種を変えたくない(異動したくない)」「今の上司が嫌だ(もっといい人のもとで働きたい)」「安定した生活を送りたい(今の会社に将来性がない。もうつぶれそう)」「手に職をつけたい」「社会貢献性の高い仕事をしたい」「新しい仕事に挑戦したい(今の仕事は飽きた)」「スキルアップしたい(今の会社ではできない)」「ステップアップしたい(今の会社ではできない)」「もっと知名度のあるところで働きたい」「もっとこじんまりした会社で働きたい」などです。他にも多く考えられます。

企業と求職者の立場が対等に近くなる

おそらく、新卒者で上記のような希望を持つ人は限られるはずです。従って、新卒向け求人の訴求点ともなりづらいのです。もっとも、残業や休日など就業環境に関することは、新卒者であっても気にするポイントだとは思います。ただ、要望として積極的には挙げるには躊躇するでしょう。働く前から休みのことばかりを気にしているように思われるのは、大きなマイナスだと想定できるからです。

ここには、新卒者はどうしても選ばれる立場だということがあります。人手不足で企業が人材を求める時代であっても、新卒者の心理的にはやはり選ばれる立場です。このため、容易に想像がつくように、新卒者が就職先を決めるポイントとして、やりがいや仕事内容(細かな内容ではなく営業や販売など職種として表現できる程度のもの)を挙げることになります。企業側もそれに応えるように、訴求点をやりがいや仕事内容に絞り込みます。ある意味、双方建て前で話していると言えなくもありません(ですので、建て前を取っ払った求人広告は大きな支持を受けることがあります。新卒でもたまにそうした求人広告を見かけます)。

他方、中途の場合は、そうした建前をもって就職した結果、現実に直面してやむを得ず転職を選んだというケースが多くなります。このため、転職でもまた建て前を持ち出すかというと、やはりそうではなく、本音で話そうとなります。企業側もそうした事情を理解しているので、本音に応えられる環境を訴求点とするのです。

また、中途入社者は一定の経験を積み、能力を持っています。新卒者に比べれば、入社後のパフォーマンスを想定しやすい面もあります。従って、「経験も能力もあるのだから、企業に対しきちんと要望を伝えます」という姿勢も取りやすいでしょう。経験や能力にもよるところですが、雇う側と雇われる側で対等の立場となりやすいのも特徴と言えます。

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訴求点が細分化される

このほか、大きな相違点として、中途向けの求人広告は多様な事柄を訴求点としていることが挙げられます。これは、中途向け求人広告が、求職者の多様な要望に応えていることによります。上記の通り、転職の理由はさまざまです。これらの転職理由は、すなわち求職者の求める条件であり、これはそのまま訴求点となります(詳しくはこちらの記事をご参照ください)。この結果、中途向け求人広告は非常にバラエティに富んだ内容となるのです。

少し目線を求人者、すなわち企業のほうに移しますと、中途採用では、企業側が求職者に求める要望も多様になります。具体的な能力や経験を求める場合も少なくありません。新卒採用が基本的にポテンシャル採用のため、あまり細かな要望は掲げられないのとの相違点の一つです。このことも、中途採用と新卒採用で、求人広告の作りを違ったものしていると言えるでしょう。

企業側の要望というのは、求職者にとっては志望動機を形成する大きな情報の一つです(これを利用した原稿制作の方法もこちらの記事で確認できます)。新卒採用では一時期(現在もかもしれませんが)、潤滑油が面接のキーワードとして流行しました(やや揶揄しているところもあると思いますが)。自身の協調性の高さなどをピーアールしたものと考えられますが、企業側がコミュニケーション能力を求めていることの裏返しとも言えます。求職者がいかに企業の要望を読み取り、自身の強みや特性を企業の要望に合わせようとしているかがわかる事例の一つです。

一つのキーワードが流行したということは、それだけ企業側が全体として求職者に同じものを求めたとも言えます。中途採用では、今のところ、潤滑油のようなキーワードは出てきていません。つまり、企業側が求めることはやはり多様ということです。

以上、中途向けと新卒向け求人広告の全体像と訴求点の違いを紹介いたしました。中途向け求人広告を作成する際、意識して中途っぽくする必要はないと思います。ターゲットを設定し訴求点を設定していけば、自然といかにも中途向けらしい求人広告になるからです。今回のことは、全体の傾向としてご記憶いただければ、求人広告を作成する際の指針や方向性を決めやすくなると思います。少なくとも、こんな訴求点で大丈夫だろうかという不安は払しょくできると考えられます。

(まとめ)
・中途向け求人広告は、求職者の本音に寄り添う。
・訴求点は細分化される。
・従って、求人広告の内容もバラエティに富む。
・社会、仕事、会社を知っている者に向けたメッセージを発する。
・企業と求職者の立場は、新卒時に比べ対等に近くなっている。

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