求人広告の取材・インタビューでありがちなこと。準備と心構え

求人広告は制作の過程で取材を行うことがほとんどです。取材を通じ、会社や事業、仕事について理解を深めるのはもちろんのこと、働く人の価値観、やや大げさに言えばその人の人生観に触れるのはとても楽しいことです。取材は求人広告を作成する上で、もっとも面白く興味深いことの一つ、なのですが、取材が美しくスムーズに進むなんてことはほとんどありません。特に中途向け求人広告の取材は予期せぬ出来事の連続で、予想外が起こることが当たり前と言っても過言ではないのです。そして、求人広告の取材の取材を重ねるうちに、予想外を楽しめるようになるのです(笑)今回はそんな求人広告の取材について、現場で起きていることや、当日の心構えなど、取材にまつわるよしなしごと、あれこれをご紹介したいと思います。

※求人広告の取材はインタビューと言われることも多くあります。というのも、求人広告の取材では、人に話を聞くこと、すなわちインタビューがほとんどすべてだからです。取材とインタビューは本来、異なるものですが、ここでは同一に扱います。取材=インタビューと捉えてください。

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広告系と報道系で、取材のイメージがかなり異なる。

求人広告の作るに当たり取材するのは当然の工程なのですが、なじみがないと求人広告と取材がうまく結びつかないかもしれません。取材と言われてパッと思い浮かぶのは、事件や事故現場に足を運び周辺の人に話を聞いたり、政治家や芸能人といった著名人にマイクを突きつけたりする姿ではないでしょうか。確かにあれは間違いなく取材なのですが、報道機関が行う取材と、求人広告をはじめとする広告の作成のために行う取材はまったくの別物です。

取材は大きく分けて2種類あると捉えてください。一つは報道系の取材。新聞やテレビなど、報道機関が行っている取材です。上記で言及しているのはこちらに当たります。報道番組などで「取材」をしているシーンが時々映し出されるので、ある意味でなじみ深さがあります。腹の探り合いで情報を引き出すこともあれば、相手にとって触れてほしくないことに踏み込んでいくこともあります。とても泥臭いものです。

もう一つは広告系の取材です。求人広告など広告メディアが行っている取材で、あまり目立ちはしないものの、おそらく報道系の取材より多く実施されていると考えられます。なぜなら世の中に発信される情報の多くが、宣伝PRを目的に広告関連、広告絡みだからです。HPやオウンドメディアも広告系と捉えれば、いかに多く広告系の取材が行われているか、想像に難くないでしょう。

広告系の取材は企画ありきで進められるケースが多い。

広告系の取材は報道系と大きく異なり、落ち着いた場所でじっくりと話を聞くことが多いです。このため、インタビューの色合いがとても強くなり、取材と言わずインタビューと言われることも多いのですね。広告を作るため、その材料集めのために取材をしているので、取材される側は基本的に好意的で、コンフィデンシャル(社外秘)なものをのぞけば、必要な情報は惜しみなく提供してくれます。宣伝PRのために、時にはけっこうな予算をかけて広告をする、そのために取材を受けているのですから、当たり前と言えば当たり前です。広告系の取材は、基本的にはとてもスマートに進められます。

企画ありきで進められるケースが多いのも特徴でしょう。こういう広告を作ろうと企画を立て、必要な情報を得るためにその情報を持っている人物をアサインし取材・インタビューをする。広告に必要な写真を撮るために、これもまた適切な人物をアサインし、場合によってはロケハンが行われ、フォトグラファーが時間をかけて撮影する。と、大まかに言えばこういう感じで進められるのが広告系の理想的な取材です。

また、やや蛇足ですが、広告の世界では、広告が世に出る前に広告主のチェックが入るのが当たり前ですが、報道の場合は記事が掲載前にチェックされることはほとんどありません。報道は、報道機関が世に出すべきだと考える情報を発信しているのが前提です。取材先のために取材をしているのではないので、取材先を慮るなどという概念はないのです。そもそも取材先のチェックを受けていたら、スクープなんてできませんからね。とはいえ、ものによっては取材先にゲラを見せることもあるようですが。

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求人広告の取材の現場は、何が起こるかわからない。

前置きがかなり長くなってしまいましたが、求人広告が属する広告系の取材がどのようい行われているか、理解を深めていただけたと思います。企画を立てて、必要な人物をアサインし、というのが求人広告の取材でも理想です。新卒向け求人広告の取材の場合は概ねこの流れで進むのですが、中途向けの場合はほとんどがこうはならないのです!(笑)

一言で言うと、取材の現場に行くまで何が起こるかわかりません。営業スタッフを求人するための取材なのに現場に営業スタッフがいなかったり、中途向けなのに取材対象が新卒入社だったりということは、よくあること過ぎて驚きもしません。営業募集のはずが蓋を開けてみればドライバー募集だった、その場で別職種が追加になった(つまり、追加の取材が必要になった)、アサインされた取材対象者が何のための取材かを知らなかった、という場面にも頻度高く遭遇します。

求人広告の取材に関し、窓口となって対応をするのは採用担当者ということが多いですが、その採用担当者が取材内容を把握していないなんてこともないことはないです。求人広告の営業担当が、採用担当者を飛び越えて求人企業側の社長や決裁権のある人と話をまとめた時などは起こりがちですね。また、求人の取材があることはわかっていても、何の媒体に載せるかは知らないということもあるので「今回の媒体は~」から「取材」が始まることもさほど珍しくない光景です。

予想外のことが起こる3つの理由。

なぜ中途採用の求人広告の取材は予想外のことが起こるのか。理由は大きく3つあると考えられます。1つは中途採用のスピード感です。中途採用は欠員などの事情で急遽行われることが多く、求人広告の出稿が決定してから数日から数週間後には取材が実施されます。社内調整をする時間はなく、求人広告の制作側が企画を提案してもその通りに進めることはなかなか困難なのです。

2つめは中途採用の専任担当者がいないことが挙げられます。そもそも採用の専任担当というポジションが社内にあることは少ないですし、多くの場合、採用担当と言えば新卒の採用担当者を指します。中途採用の専任担当者がいることは極めて稀です。もっと言うと人事部門がない会社も多いのです。このため、中途採用向けの求人広告の取材を受けることに慣れている人がおらず、求人広告の営業や制作側の説明不足もあって当日バタバタしてしまうのです。

3つめは、多忙が挙げられます。社会人なら多忙は当たり前ですが、急ぎ中途採用をしなければならないほどの状況ということに配慮しなければなりません。中途採用は新卒採用と異なり、定期的に行われることはほとんどありません。欠員や業務量増加などを背景に、急な人材ニーズに対応するために中途採用を行います。必要な人員が社内にいないのですから、当然に一人ひとりの業務量は増え、忙しいわけです。そうした中、取材のための時間を無理くり作ってもらうのですから、準備が完全に整った状況で取材ができると考えるほうが無理があるのはわかると思います。本当に取材を受ける側は大変なんですよ。中には、業務終了後や休日、夜勤明けに時間を作ってインタビューを受けてくれる社員の方もいます。自社の採用ため、業務命令だから、とはいえ協力してくれるのはとてもありがたいことです。短い期間で社内調整を行ってくれた採用担当の方にも感謝申し上げます。

求人広告の制作に携わっていると、事前の情報は何もなくとにかく取材に行ってくれと言われることも度々あります。少しでも事前に情報を得ようとホームページを確認しようとしても、ホームページすらないということもあります。それでも、取材先に足を運び、粛々と取材を進めるのが中途向け求人広告のライターなのです。広告系の理想的な取材に慣れている人からすると、中途の求人広告の取材はやや破天荒に見えるかもしれません。中には「なんじゃこりゃ」とそれに近いことを言う人もいます。ただ、短い時間の中で広告を作るのは求められるニーズの一つですし、情報や素材が足りない分は制作側の情報収集などでカバーできることが多いです。その上で、予想外、想定外が起こることも含めて求人広告の取材、制作を楽しみましょうよ!(笑)

取材の準備はし過ぎてし過ぎることはない。

取材当日は予想外のことが起こる、となると、取材の準備は必要ないか。もしかしたら、そう考えるかもしれません。しかし、実際は逆です。何が起きるかわからないからこそ、何が起きてもいいように準備しておくのです。

具体的にはまずは会社の情報を取得します。HPで会社情報や事業内容などを確認します。場合によっては採用ページを設けてあることがあるので、しっかりと見ておきましょう。仮にHPがなくても、求人情報は探しておきます。「〇〇(会社名) 求人」「〇〇 doda」「〇〇 リクナビネクスト」などで検索すると、現在や過去に掲載された内容が出てくることがあります。

募集職種についても理解を深めます。例えば「施工管理」だったら、施工管理がどんな仕事が調べておきます。この時、役に立つのが求人サイトです。職種については大概のものは求人サイトで調べられるので、dodaやリクナビネクスト、マイナビ転職、エン転職などで探します。サイトに目を通すことで、仕事内容がどのように書かれているか確認できるのはもちろん、仕事のやりがいや厳しさ、打ち出し・訴求ポイントがわかることが少なくありません。その結果、より適切な質問ができるようになります。

よく見る職種、十分に知っている職種でも、最新の求人広告を確認しておくことをお勧めします。最新の求人広告のトレンドがわかるからです。特に「しばらくぶりに設計職」の取材をすることなった、などという場合は確認しておくことが無難でしょう。

何があっても動じない、心構えが大切。

準備は万端だったけど、当日やっぱり不測の事態が起きて戸惑った、うまく取材できなかった、ということはどうしても起こり得ます。準備はし過ぎることはないとはいっても、限界はあります。

では、どうするのかというと、イレギュラーは起こると心構えしておくことです。それに、イレギュラーが起こりそうな時はだいたいわかります。事前の情報が極端に少なかったり急遽取材が決まったりした時などは、そもそもがイレギュラーだと言えなくもありません。当日は予想外や想定外のことが起こりやすいです。

一方、求人広告の取材では、聞くべきことは概ね決まっています。もちろん、聞くことは毎回同じではありませんが、どの取材でもおさえておくべき点というものはあります。その点をまずはおさえ、後はわからないことを残さず聞いていくことが大事です。あまりにも基本的なことを質問してはコピーライターとしての力量を疑われる、ということもなくはないですが、格好つけても仕方ありません。良い求人広告を作る、効果を出す、という思いは取材をする側も取材を受ける側も共通しているので、落ち着いて話を聞いて着地させましょう。何が起きてもドンとしている、そうした心構えは大事です。

まとめ

取材という切り口で、中途採用向け求人広告の世界の一端を紹介させてもらいました。中途採用向けの求人は短期決戦という大きな特徴があります。このため、イレギュラーが起こりやすく、制作者には臨機応変な対応が求められます。その分、慣れというか知識が必要となるケースがあるのも事実です。一通りのことができるようになるまで一定の時間を要することもあり、中途採用向けの求人広告の作成をレギュラーで手がけるライターはあまり多くはいないようです。確かに大変さはあるのですが、その分の面白さも確実にあります。本サイトでは中途採用向けの求人広告の魅力、面白さ、楽しさ、価値みたいなものをもっと知らしめていければと思っています。正直、今回は面白さが伝わる内容か微妙なところがあるので、、、その点は今後見直していきたいと思っています!ところで、やや、というか思いっきり手前味噌で恐縮ですが、取材を報道系と広告系に分けて紹介したのが、有益なことだったと自画自賛しています。どうしても取材=報道のようなイメージがありますからね。次回以降も、中途採用向けの求人広告の制作について取り上げていきます。

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