KCCの求人レポート（2020年5月13日発表）

‘20年5月のKCCによる求人レポートです。新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言は、発出当初5月6日だった解除予定日を5月末まで延長しました。5月14日時点で感染者数や医療提供体制の逼迫状況を鑑みて、5月末を待たずに緊急事態宣言の解除に踏み切る可能性も示唆されていますが、いまだ予断を許しません。

転職サイト「doda」が発表している月毎の求人倍率レポートを見ると、新型コロナウィルスの影響がジワジワと拡がっていることが分かります。今後の中途採用市場を鑑みるうえでの参考にお役立ていただけると思います。

求人倍率について

‘20年3月（20年04月に発表）の全体求人倍率（転職）は2.54倍（前月比＋0.02pt）。先月2月と比較すると微増しています。求人数は前月比101.0%、転職希望者数は前月比100.4%となっており共に増加。求人数の増加幅が大きかった影響で、求人倍率が上昇しています。

もっとも、「doda」の解説によると、新型コロナウィルスの影響で採用活動を見合わせた企業も増えはじめていたようです。これらの影響は3月の求人数には反映されていないため、4月の転職求人倍率に表れることになりそうだとしています。

求人媒体各社の求人掲載数は？

「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「エン転職」の主要4媒体に加えて、「type」「re就活」の求人広告件数は、合計で114,394件（前月比－6,700件）。直接応募が可能な求人広告の掲載件数は「リクナビNEXT」がトップシェアをキープ（「doda」は人材紹介からの応募のみを受け付けている求人広告が多数含まれています）。その他媒体の掲載数は、先月（4月）に続いて微増（前月比＋79件）の「re就活」以外は軒並みダウンしていますが、シェアの順位は変わらない模様です。

いよいよ新型コロナウイルスの影響が如実に表れてきました。20年3月と20年5月を比較すると－26,212件。リクナビNEXT元編集長の黒田氏、キープレイヤーズ代表取締役の高野氏両名のツイートで下記のような警鐘を鳴らしています。

地震と津波の関係のように、大きく速く落ちる不況は、インパクトが身近にやってくるまでの時差がかなり長いことが危険を拡げます。気がついた時には、なすすべがない。リーマンショック発生時点で日本の財務大臣は「蜂に刺された程度だな」と言ってましたが、その半年後に日本は沈没しました。 https://t.co/NyZK7IG0b0

— 黒田真行◆採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ (@damadama777) May 8, 2020

いずれにしても、中途転職の求人動向からは目が離せません。

IT求人数についての考察

「IT・通信」業界における5月の求人数は、4月に続いて減少。中途採用活動の見合わせが続いています。「IT・通信」業界のクライアントである“「IT・通信」以外の業界”の企業が、新型コロナウィルスの影響でシステム開発投資にストップをかけていることが影響しているようです。

この最中に中途採用活動を続けているSIer企業の多くは、経験者採用がメインのようです。これまで以上に「IT・通信」業界の経験者採用が過熱していくことが予想されます。

KCCでは引き続き、企業人事にお役立ていただくための求人レポートを続けていきます。