KCCの求人レポート（2020年3月31日発表）

‘20年3月のKCCによる求人レポートです。現在、新型コロナウィルスの感染拡大が世界中で続いており、日本国内でも東京都のロックダウン（首都封鎖）が瀬戸際の状況です。この影響に伴い、イベント関連・飲食・旅行といった業種は、事業運営がままならない状態に追い込まれています。2008年のリーマンショック以来の未曾有の経済危機が迫っているといって過言ではないでしょう。

今回も、転職サイト「doda」が発表している月毎の求人倍率レポートをベースに、KCCが独自にリサーチ・考察した情報を発信します。計測できている求人倍率・求人数が先月以前のものが多いため、直近の状況とは多少のタイムラグがありますが、今後の中途採用のトレンドを追いかける上で参考にいだける内容でまとめています。

求人倍率について

‘20年2月発表の同年1月の全体求人倍率は2.6倍（前月比-0.54pt）となっています。過去4カ月にわたって上がり続けていた求人倍率が下がりました（既に発表されている2月の求人倍率も2.52倍で下降が続いています）。

求人数は前月比98.6%、転職希望者数は前月比119.3%といったデータが出ており、企業側が採用予定数を絞ってきていることが窺えます。もっとも1月~2月は、4月に入社してくる新卒社員の受け入れ準備の影響から例年、中途採用求人への出稿数が減る傾向があります。求人数を見ると前年同月比は106.0%、転職希望者数は前年同月比105.7%です。1月の段階では、新型コロナウィルスが中途採用市場に与えていた影響は、まだ少なかったようです。

なお業界別でみても、前月比は全ての業種で下降しています。

求人媒体各社の求人掲載数は？

「doda」「リクナビ」「マイナビ」「en転職」の主要4媒体に加えて、「type」「Re就活」の求人広告件数は、合計で140,606件。直接応募が可能な求人広告の掲載件数は「リクナビ」がトップシェアをキープ（「doda」は人材紹介からの応募のみを受け付けている求人広告が多数含まれています）。各媒体の掲載数は概ね前月分を維持しており、シェアの順位は変わらない模様です。

一方で、マイナビのみ求人掲載件数が2243件（前月比-17P）とやや目立って減少しています。原因は不明ですが、要注目要素です。継続してリサーチを続けます。

IT求人数についての考察

引き続き、今月も「IT・通信」について考察します。3月の求人数は全体を見ても変わらず横ばいです。なお「IT・通信」は、新型コロナウィルスの影響を一番受けづらい業種であることが予測されます。多種多様な業種が、業務のDX（デジタルトランスフォーメーション）を求めていることに加えて、外出自粛要請に伴ったテレワークの導入と活用が急務になっているからです。

むしろ「IT・通信」は、一層の人材需要が高まる可能性を秘めています。中途採用市場において定点観測に最適なリトマス試験紙ともいえるでしょう。引き続き、企業人事にお役立ていただくため、KCCによる求人レポートを続けていきます。