求人広告(採用コンテンツ)、超作成方法⑬
前回、キャッチコピーの作り方を紹介しました。今回も引き続き、テキスト制作について具体的な方法を示します。取り上げるのは、ボディコピーを中心に一定の量のある文章です。文章の書き方は、広告制作の中では触れられることが少なかったでしょう。なぜなら、これといったノウハウを示しにくいからです。特に求人広告については、これまでまったく語られることがなかったと言っても過言ではありません。しかし、ここでは具体的なノウハウをしっかりと示します。紹介した手法を用いれば、驚くほどスムーズにボディコピーが書けるようになるはずです。ご期待ください。
※本ページは「求人広告(採用コンテンツ)、超作成方法」でお送りしているシリーズの第13回です。
ボディコピーにもフレームワーク(型)がある。
ボディコピーとは、キャッチコピーに続く文章のことを指します。広告用語の一つですので、一般には本文などという言われ方もします。キャッチコピーが見出しで、ボディコピーが本文ということです。どちらの言い方でももちろんかまいません。コピーライターがボディコピーと言ったら、本文のことを言っているのだと思ってくださればありがたいです(笑)
多くの求人広告は、ページの上部にキャッチコピーとボディコピーを書き込みます。採用HPやポスターなどを制作する場合もキャッチコピーとボディコピーはセットです。つまり、前回のキャッチコピーの書き方と、今回のボディコピーをよく読み実践いただけば、制作のもっとも目立ちかつ大変な部分が解決できるのです。
さて、そのボディコピーですが、前回キャッチコピーのフレームワーク(型)を紹介させていただきました。実は、ボディコピーにも同様にフレームワークがあります。見てもらったほうがわかりやすいと思いますので、早速、フレームワークを示します。
あなたにお任せする仕事は○○○です。
あなたが転職するメリットは○○○です。
いかがでしょうか。要するに「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」を書き込んでいけば、自然とボディコピーは出来上がっていくのです。
求人の場合は、読み手つまり求職者が知りたいことはある程度決まっています。それが「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」です。これについては、ほぼ反論は出ないと思います。この3要素の特徴的なところや、ターゲットに伝えたいところを書き起こしていきます。具体的にはこんな感じになります。
当社は1950年に設立し、これまで半世紀以上にわたり、求人広告の制作を手がけてきました。世界に名だたる企業をはじめ、地域の優良企業やこれからの可能性あふれるベンチャー企業、独自の技術を持つ町工場などを担当し、多くの実績を重ねています。
あなたには、コピーライターの業務をお任せしたいと思っています。当社ではコピーライターが広告制作に一貫して携わるのが特徴です。あなたは企画立案から、クライアントとの打ち合わせ、取材、コピーライティングまでを手がけることになります。
応募に当たり、求人の経験は問いません。指導力のあるベテランが求人について一からお教えしますので、その点はご安心ください。求人は常にニーズがある分野です。ライターとして息長く活躍できるでしょう。当社では実務を通じ、確かな取材力と、読み手の心をつかむ制作力が身に付けていけます。新しいスタートを切りませんか。
上記は架空の案件です。ターゲットはざっくり「ほぼ実績のない駆け出しライター」と設定しています。もちろん、実際には募集企業やターゲットによって情報の強弱やコピー全体のトーンは変わってきます。上記はあくまで基本形で、出来はともかく、コピーの流れを何となくご理解いただければと思います。
さらに、「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」は単に書きやすいフレームワークというだけではありません。既にお伝えしているように、「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」の3要素は求職者の聞きたいことです。つまり、この3要素をきちんと押さえれば、広告としての効果も期待できるということなのです。
※私は求人広告のコピーライターとして、意味ないことや上っ面だけのことは絶対に言わない方針です。ここにあることはすべて具体的でパワフルなノウハウです。ぜひ活用いただければと思います。
経験者は、ポジション、ミッション、待遇を意識
「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」はどちらかというと、未経験者や経験の浅い人向けのフレームワークです。経験者は「ポジション」「ミッション」「待遇」を意識してください。一つ一つ説明していきましょう。
ポジションは、役職などです。一スタッフなのか、課長や部長なのか、社長直下の新ポジションなのか、などを明らかにします。ただし、「あなたには一スタッフとしてご入社いただきます」とボディコピーで書くかどうかは別問題です。逆に、部長クラスを任せるのなら、明記したほうがいいでしょう。情報の取捨選択は、文章を書く上で非常に大事です。
ミッションは、会社や部門で果たしてほしい役割です。ポジションと重なると部分も多く、任せるポジションに関しより詳しく説明するという意味合いになります。役職はない一スタッフでも、「若手の上に立つ中堅層として腕を振るってほしい」ということもあるでしょう。これについても必要に応じて明記します。
待遇は、給与(月収、年収)などです。部長待遇ならそれなりの額になるでしょうし、一スタッフでも若手を牽引する役割を担うなら、新卒初任給と同等ということにはならないはずです。魅力となる数値なら、ボディコピーのどこかに記しておくのも有効です。
基本的には、経験者であっても、「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」を知りたいと思うのは変わりません。ただし、経験者は未経験者と異なり仕事にも一定の知見があります。このため、「任せる仕事内容」を「ポジション」「ミッション」に入れ替えると考えればわかりやすいと思います。
とはいえ、経験をもとに別の仕事に挑戦してもらう、というのであれば、ある程度丁寧な説明が必要になります。また、待遇は転職のメリットの一つとなり得ますが、待遇だけ書いておけばいいということではないので、その点は注意してください。
全体に言えることですが、「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」や「ポジション」「ミッション」「待遇」は一つの指針であり、書く以前に抑えておくべき情報とも言えます。絶対に書き記さねばならないということではありません。あまり杓子定規な考えに陥らず、何を書こうどう書こうと迷ったら「誰が誰に何を」に立ち返ってください。すると、伝えるべき情報が見えてきます。
一人に語りかけるように書く。
最後に、書く時の非常に有効なテクニックをご紹介します。それは、書く時は「一人に語りかけるように書く」ということです。情報をまとめようとか、ましてうまく書こうとかしてはいけません。
そんなことを考えるよりむしろ「○○ってこうなんです。ちょっとわかりにくいですか。つまり、こういうことなんです。そうです。そうそう、○○ってこういうことで……」というふうに、相手が何を聞きたがっているだろう、どう説明したらいいだろう、この説明だとわかりづらいから言葉を追加しよう、と考えていくと、非常に読みやすくいい文が書けます。
「一人に語りかけるように書く」は、特に広告制作では極めて有効なテクニックです。ぜひ一度使ってみてください。想像以上にスムーズに書けることが実感できるはずです。なお、言うまでもなく、一人とはターゲットです。この時、ターゲットを複数、設定していると、書く内容がちぐはぐになるのがわかると思います。
最大のポイントは、ターゲットが聞きたがっていることを書くということです。美しい文章、ウィットに富む言葉遣い、インパクトのある表現、などと言ったことは、今日この瞬間から捨ててください。文章とは、書くものではなく、読んでもらうものですよ、お忘れなきように。
※文章の書き方については、今後さらに深く取り上げていきます。求人広告や採用コンテンツにとどまらず、ビジネス文書などでも使えるノウハウや技術を紹介します。ご期待を!
まとめ
・求人広告のボディコピーの基本は「会社概要」「任せる仕事内容」「転職のメリット」。
・経験者には「ポジション」「ミッション」「待遇」
・文章は一人のターゲットに語り書けるように書く。
・書こうとしないこと、読んでもらおうという意識が大切。
次回第14回は⇒こちら