KCCの求人レポート（2020年4月23日発表）

‘20年4月のKCCによる求人レポートです。国内における新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府は緊急事態宣言を4月7日（火）に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の７都府県に発出。続いて4月16日（木）には、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大しました。

各都道府県では、小売店や各種施設に対して休止要請をしています。対象の一例をあげると、スナック、バー、性風俗店をはじめとした夜の遊興施設をはじめ、大学、自動車教習所、英会話教室などの学習施設、スポーツ施設、劇場にいたるまでさまざま。3密（密閉・密集・密接）によるクラスター（集団感染）が発生する可能性のある場所として指定しています（※1）。

（※1 さらに細かい分類は各都道府県庁のHPでご確認ください。下記に代表例として東京都の対象リストを記載します）
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html

経済に甚大な影響を与えているいま、転職サイト「doda」が発表している月毎の求人倍率レポートをベースに、KCCが独自にリサーチ・考察した情報を発信します。計測できている求人倍率・求人数にタイムラグはありますが、国内でもアフター・コロナに突入した2月以降のデータのため、今後の中途採用市場を鑑みるうえでお役立ていただけると思います。

求人倍率について

‘20年2月（20年03月に発表）の全体求人倍率は2.52倍（前月比-0.8pt）。先月1月から鈍化がはじまった企業の中途採用活動は、2月に入ってさらに低下しました。もっとも、各業種ごとにみるとIT・通信系をはじめ、ほとんどが軒並み低下している一方で、小売り・外食業（前月比＋0.21pt）と金融業(前月比＋0.31pt)の2つで増加しています。

これはdodaによれば、小売・外食業は、飲食店やドラッグストアを中心に求人数が増えたほか、インターネット通販企業でも物流関連のポジションを中心に求人数が増加しているらしい。金融業では、生命保険の営業職で採用が活発になっているそう。一部銀行や格付け会社でも中途採用に力を入れる動きがあったことも求人数増加の要因に繋がっているとのことです。

いずれにしても、現状はリーマンショック時（2009年）の不況以上ともいわれています。来月以降の中途採用求人倍率からも目が離せません。

求人媒体各社の求人掲載数は？

「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「エン転職」の主要4媒体に加えて、「type」「re就活」の求人広告件数は、合計で121,094件（前月比－24,968件）。直接応募が可能な求人広告の掲載件数は「リクナビNEXT」がトップシェアをキープ（「doda」は人材紹介からの応募のみを受け付けている求人広告が多数含まれています）。その他媒体の掲載数は、微増（前月比＋2件）の「re就活」以外は軒並みダウンしていますが、シェアの順位は変わらない模様です。

掲載件数の減少は、新型コロナウイルスの影響なのは明らかです。先月に引き続き、「マイナビ転職」の掲載件数減少が特に顕著（前月比－2720件）になっています。2月～4月の3カ月連続で減少していることも気になるところです。

IT求人数についての考察

「IT・通信」業界における4月の求人数は、今年に入って初の減少。「IT・通信」業界は、新型コロナウイルスの影響を一番受けづらい業種であることが予測していました。しかし、「IT・通信」業界も他の業界と同じように、中途採用活動を見合わせたようです。

中でも業界で多数を占めるSIer企業に特徴的な動きがあります。これまで未経験者を大量採用して入社後に手厚い研修を実施していたSIer企業から、経験者採用に切り替える旨をチラホラと聞くようになりました。今後ますます「IT・通信」業界の経験者採用が過熱していくことが予想されます。

KCCでは引き続き、企業人事にお役立ていただくための求人レポートを続けていきます。