景気が採用を変える。不況時の求人広告に好まれる傾向

2020年はKCCレポートにもある通り、全体として求人数が減っています。求人活動を控える企業が多いですが、その一方で人材を必要としている企業も少なからずあります。経済が縮小している中で、求人広告はどのように打ち出せばいいのか。解説してみたいと思います。

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コンセプトメイキングの土台は変わらない

求人広告の作り方、広告設計、コンセプトメイキングの手法は、好不況によって変化するということはありません。基本的には、自社理解に始まり、ターゲット設定、テーマ・打ち出しの決定、表現の練り込みという流れで制作されます(詳しくは「求人広告(採用コンテンツ)、超作成方法」をご確認ください)。

ただし、求人広告(に限らずすべて制作物が該当すると思いますが)は、景気を含め時代の空気に影響を受けます。より正しくは、時代の空気を考慮しながら制作が進められ、いかにもその時代らしい仕上がりになります。これはその時見るより、後で振り返ってその時作られたものを見るとよくわかるはずです。

少し話がややこしくなりましたので、簡単に求人広告に即して言うと、強調のポイントと表現方法が変わってきます。もっと具体的に言ってしまうと、不況下では求職者(ターゲット)が安定を求めているとの前提のもと、安定は一つの大きな魅力となります。安定を全体的なテーマ・打ち出しとするかは別にして、なぜ安定しているのか、どのような背景・事業戦略があるのかは言及しておくのが適切です。

落ち着いたトーンが好まれる傾向

また、トーン(表現方法、文体)としては真摯さや誠実さを前面に出すほうが好まれます。不況下で多くの人や企業が大変な思いをしている中、「オレたちすごいぜ、勝ち組だぜ」という軽いノリでは不興を買ってしまうのが、容易に想像できるでしょう。

参考までに、好況時、例えば、バブル景気の時の広告を思い浮かべると、違いがはっきりとわかるはずです。バブルまでさかのぼらなくとも、景気の良いころの求人広告は、全体的にイケイケな感じがしたのは何となく思い出せるでしょう。好景気の時は勢いやノリが受け入れられる傾向にありますが、今はそうではありません。

もちろん、中には、「うちは常に挑戦を求めている。だからこそ、こんな時でも成長を続けている。安定を求めるような人材ではなく、挑戦心あふれる人材がほしい」と考えている企業もあるでしょう。そうした企業の姿勢は一種のニュース性を帯びますので、その姿勢そのものが十分にテーマ・打ち出しとなります。書き方としては、なぜ今挑戦なのか、目指すところはどんななのかを、トーンに注意しながら明示するのは有効な手法です。

なお、新型コロナウイルスの影響は、リーマンショックの時とは異なり、その顕著な差異として、外出自粛が挙げられます。もし会社側で、リモート面接、テレワークなどを実施しているのであれば、そうしたことにあらかじめ触れておいたほうが良いと思います。求職者にとって、新型コロナウイルへの対策は気になることの一つだからです。

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ターゲット設定を着実に

不況時に良い人材を採用できるか、今だから敢えて採用活動を続けたほうがいいのか、ということはしばしば尋ねられます。その質問の意図は、つまり、一種の買い手市場に近い状態になっているから、良い人材が採用しやすいのではないか、ということです。一理あるといいますか、当然の推測です。今、全体に求人数が減っています。裏を返せば、1社あたりの求職者が多くなっているということであり、通常よりも多くの応募者(母数団)を期待できるでしょう。また、新規の求人を期待している人も多くいるので、必要に応じて求人活動は当然に続けたほうがよいと考えられます。

ただ、通常より良い人材が採用できると安易に考えてしまうのは、危険な面もあります。確かに、応募数が増える可能性が高いので、それだけ良い人材に巡り合える可能性も高まるのも確かなところです。一方で、「自社にとって良い人材」が明確に定義されていない限りは、結局のところ、採用もうまくいきません。どんな人材を採用すべきか不明なので、当たり前と言えば当たり前でしょう。

応募が集まるからと言って、高学歴やコミュニケーション能力の高さ、あるいは優秀な職歴など、一般的な良い人材を求めてしまっては、取り合いになることは避けられませんし、何より自社に適した人材なのか不明です。仮に採用できたとしても、自社に合わないとなると、双方にとって不幸な結果になってしまいます。そうならないためにも、こうした時だからこそ、「自社にとって良い人材」を見つめなおすのは重要なことです。実際、採用がうまくいっている企業は、ターゲット設定をしっかりと行っています。ぜひ自社とって良い人材との出会いを果たしていただければと思います。

まとめ

・好景気でも不景気でも、求人広告の作り方に大きな違いはない。
・ただし、その時代の空気と言えるものにある程度の合致は求められる。
・例えば、原稿のトーン(表現方法)は好不況が反映されやすいし、したほうがいい側面もある。
・自社にとって良い人材の定義は相変わらず必須。
・採用の成否はターゲット設定が大きく左右する。

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