フリーライター、フリーランスと年金、資産形成

本カテゴリーではフリーライターをはじめとするフリーランスで活躍する人に向け、役立つ情報をお送りします。役立つ情報といっても、案件獲得や技術ノウハウについて積極的には触れず他に譲るとして、本カテゴリーでは普段あまり語られない、しかし、非常に重要であると思われる事柄についてご紹介したいと考えています。今回はその第一回。取り上げたいテーマは、年金と資産形成です。もしかしたら、自分には関係ないと思ったかもしれませんが、非常に重要なテーマで、向き合わなくてはならないことです。本稿では、なぜフリーライターが年金や資産形成に目を向けなければならないか、そもそもフリーライターは年金をいつからどのくらいもらえる見込みなのか。解説していきます。

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フリーランスこそ、年金や資産に目を向けるべき

以前、フリーライターとして活躍する知人から「フリーの人こそ、年金や資産形成、ファイナンスのことを知っておくべきだ」と指摘を受けたことがあります。その方は、広くライター、デザイナー、フォトグラファー、エンジニアと交流があり、かつ新人の育成や仕事の世話までしているのですが、「目の前の案件の単価の話をしても、長期的視野で資産を考えている人はいない」と言っていました。

確かに私の周りにも「お金のことはまったくわからない」と口にするフリーランスの友人・知人は多いです。そもそもあまりお金の話はしませんし、言及するにしても今月の収入はいくらになる見込みだ、3カ月先まで仕事の予定が入っているなどと、どちらかというと短期的な視野のケースがほとんどです。フリーランスは今がどんなに好調でも、1カ月先に仕事が入っているかわかりません。このため、視野は短期になりがちです。しかし、だからこそ将来を見据えなければならないとその方は強調します。

その方の考えに私も強く同意しました。私は以前に仕事の関係でたまたま年金や社会本保険について調べる機会があり、人事領域の記事作成では年金や社会保険はメジャーなテーマでの一つもあるのですが、その過程で「愕然とした事実」を知ることになったのです。前置きが長くなりましたが、そのことなどについてお伝えします。

年金(国民年金の老齢基礎年金)は満額支給で77万7800円(2022年度)

フリーランスが基本的に加入している国民年金は、65歳以上になると支給され、満額で77万7800円(2022年度)となっています。80万円近くもらえるの、かなりいいね、と感じたかもしれませんが、そう感じた方はもしかしたらある勘違いをしているかもしれません。77万7800円を月額と捉えたのではないでしょうか。77万7800円は年額です。月にすると6万4816円となります(月額×12で77万7800円とならないのは、老齢基礎年金の計算には50円以上100円未満を100円に切り上げる、1円未満は切り捨てて切り捨てた額をまとめて加算するなどの決まりがあるからです。このあたりものすごくややこしいので、年額80万円弱、月額約6万5000円だと捉えてください)。

正直、これまで年金を真剣に考えてなかったのですが、この額を知ってとても驚きました。ちょっとしたショックがあったのも事実です。しかも、77万7800円は満額、つまり、40年間きっちりと保険料(国民年金をもらうために20~60歳まで毎月払うもの)を納付していることが条件で、減免や学生納付特例制度を利用した場合は、この額に届きません(減免と学生納付特例制度とは、ここでは保険料の減額や納付しなくてもいい措置だと簡単に捉えてください)。なお、保険料は月額1万6590円(2022年度)です。

注意が必要なのは77万7800円は2022年度の額ということです。将来的にこの額が同額が支給されることはまずないでしょう。国民年金や厚生年金などの公的年金は5年に一度、見直しが行われます。少額ですが、今年度と昨年度も違っています。過去の推移を対局で見ると老齢基礎年金の支給額は増えているのですが、その分、保険料が上がっています。今後は65歳で支給されるのか、という議論まであるようなので、先のことは不透明です。ただ、年金額が大幅に増えることはないのではないかと予想はできます。

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会社員として勤務経験がある場合は厚生年金が上乗せ

今はフリーランスでもかつては会社員だった方も少なからずいるでしょう。その場合は、老齢基礎年金にプラスして、厚生年金の老齢厚生年金が支給されます。老齢厚生年金は会社員の時の給与によって変わってきます。厚生年金は現役世代の平均収入の50%を上回ることが規定されており、人によってはそれなりの額をもらえる可能性はあります。ただ、定年前に会社勤めを辞めてフリーランスになったことを考慮すると、国民年金と合わせて200万円を超えることも難しいと想定されます。生涯を通じて平均年収が600万円くらいないと、国民年金+厚生年金で200万円に到達しません(生涯を通じて平均年収なので、定年間近に年収1000万円になっても、若いころに収入が低いと平均で600万円いかない可能性はあります。また、600万円は今の感覚で言うとかなり良いい収入だと思います。それでも年金額は200万円強という計算です)。

ここで少し厚生年金の仕組みを説明すると、厚生年金を支払うと同時に国民年金の保険料も収めていることになるので、厚生年金に加入していると、厚生年金と国民年金の支給を受けることになります。その分、保険料は高くなりますが、将来の保証という意味では手厚くなっています(国民年金は一定額なので、収入によって異なることはありません)。

フリーランスの場合ですと、国民年金+厚生年金の年金(公的年金)は年額は200万円にいくことは極めて稀だと考えられます。100万円前後となるケースが多いかもしれません。月10万円弱ですと、家賃と水道光熱費でだいたいなくなります。この事実を知り、これはちょっと真剣に考えなくてはならないのでは、と思うに至ったわけです。冒頭に登場したフリーライターの知人は、こうした事実を踏まえた上で、私に「フリーランスこそ、年金を知り将来を見据えろ」と忠告したのだと思います。

※なお、自分が年金(公的年金)をいくらもらえるか、現時点での額は「年金定期便」で確認できます。年金定期便は誕生月に送られてきます。確認せず放置していたこともあったと思いますが、この機会にぜひ一度目を通してみてください。「3.これまでの加入実績に応じた年金額」という欄を見れば、現在までの年金額が確認できます。

年金手帳と年金定期便
青い冊子(上)が年金定手帳、白いはがきが年金定期便です。

人生100年時代、80歳まで現役の働き方と求められる役割

今、「人生100年時代」と言われています。この言葉の意味するところは、80歳までは現役、つまり、80歳までは働きなさいよ、ということです。幸いなことに、私の知る限りフリーランスで働く多くは仕事を好んで行っており、現役が長くなることにさほど抵抗を覚えていません。中には、生涯現役を掲げる人もいます。

一方で、考慮しなければならないのが、現役バリバリで働ける期間は思ったほど長くはないことです。20~30代の働き方を60~70代で続けるのは相当無理があることは想像に難くないでしょう。かつての私がそうだったように20~30代ではピンと来ないかもしれませんが、体力は衰えます。何をしても元気である、徹夜をしても平気である、なんてことはもうありません。歳を取るに従って、体力を維持するために何らかの、場合によっては相当の努力が必要となります。別の見方をすれば、例えば、体力を維持するため運動をするとしたら、その分の時間を捻出しなければならず、仕事の時間との調整が必要になるケースもあるのです。

病気やけがのリスクも高まります。本人の意志とは無関係になってしまうものなので、年金あるいは将来の資産形成など年寄り臭いことは考えず働き続けようと思っても、そうはできないかもしれません。病気やけがを予防して健康を維持しようとすると、体力維持と同様に時間もお金も20~30代では考えらえないほど必要になってきます。私も自ら書いていてちょっと心苦しくなってきましたが、こうしたもことも受け止めなければならないでしょう。これらのことを考慮すると、安い仕事でもとにかく受けまくって収入を伸ばす、ということが困難になります。その意味で、目の前の単価の話をするのも極めて重要です。

また、資産形成とはちょっと別の話になりますが、高齢になれば求められる社会的役割も変わってきます。70代のベテランフリーライターと20代の若手が同じことをしていたら、違和感があるはずです。50代60代70代のフリーライターの役割とは何なのか。これについては、と言いますか、これについても相当真剣に考える必要があります。目の前の働き方や仕事あるいは収入に限らず、将来を見据えなくてはならない。総じて、フリーライターをはじめ、フリーランスとして活躍する人は将来的な視野を持つことが大事になると言えるのです。

まとめ

今回は年金についての話を中心にお伝えしてきました。もらえるものはありがたく頂戴するとして、これからはいわゆる「年金生活者」になることは不可能、少なくとも年金(公的年金)だけでは生活できないと見るほうが妥当です。仕事については、働き方を変える必要があり、求められる役割が変わってくることも念頭に置いておかねばなりません。資産形成の話はあまりできませんでしたので、また別途お伝えするとします。このほか、健康維持についても情報を収集しお伝えしたいと考えています。

なお、健康のことは近年、健康経営やウェルビーイング経営などで企業が積極的に取り入れ始めています。会社員の方であれば、企業側がある程度面倒をみてくれるでしょう。フリーランスはそうはいきません。フリーランスは会社員の方に比べ保障の少ないことを考慮すると、自らよりしっかりと考えなければならないのです。

最後に、ここまで知り得た情報をお伝えしてきましたが、私自身将来について完璧な備えをしているというわけではありません。従って、こうすればよい、ということがなかなか言えないのが現状です。先を見据える難しさもあります。しかし、知っていて損はないこと、知らなければならないことはあるでしょう。それらのことについて、本サイトを通じてお伝えすると共に、私自身もフリーライターとしてより良い毎日を送るために、必要なアクションを起こしていきたいと思っています。

おまけ

冒頭で私は仕事を通じ年金を知ったとお伝えしました。その過程でファイナンシャルプランナー(FP2級/正式名称は二級ファイナンシャル・プランニング技能士)も取得したのですが、その背景にはネットで公開されている記事の真偽が不明だったということがあります。正しくない情報とそうでない情報の区別がつかなかったため、勉強しようとなったのです。ネット記事は間違いが多い、と言ったら言い過ぎですが、法改正が頻繁に行われることもあって、古くなっている情報がしばしば見受けられました。また、よくわかってなくて書いていると感じられるものもあったのは事実です。結局、何が言いたいかと言いますと、情報はネットで取得することが多いと思いますが、フリーランスの方は、資格を取るかどうかは別にして、ファイナンスについて正しく基礎知識をつけるためにも、ざっとFPの勉強をしてみるのもありなのではということです(ネット記事を書いている立場でいうのもなんですが。もちろん、この記事ではしっかりとした情報をお伝えしています)。ライティングの仕事などに活かせるかは疑問ではあるものの、なかなか面白みのある内容ですよ。

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