【マーケット】ISO30414とは何か。これだけは知っておきたい基本

ISO30414をどこかで聞いたことがあると思います。2~3年前からHRの関連の場で盛んに言われるようになりました。既に一旦は浸透した感もありますが、まだまだよくわからないというケースも多いはず。そこで今回、ISO30414の概要をごくごく簡単に要点だけ解説します。これだけは押さえておきたいという内容です。理解とこれからの活動の一助となれば幸いです。

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ISO30414は人事・人材マネジメントの国際標準

ISO30414を極めて簡単に言ってしまうと、人事・人材マネジメントの国際標準です。要するに、企業の人事・人材マネジメントはこの基準に従って評価してくださいね、というものです。企業価値を判断する新たな共通の指標・物差しと捉えれば良いでしょう。これまで財務などは、どの企業も共通の基準で評価でき、良し悪しを判断できました。早い話が、数値を見れば財務状況は一目瞭然で比較もできました。一方、人に関することは数値化が困難だったため客観的な判断が困難だったのが実情です。そこに一石を投じ、国際標準、要するに数値化する時の決まりを作ったというわけです。

そもそもなぜこのような基準を作ったのでしょうか。それは財務諸表があるのとほぼ同じ理由です。つまり、投資の判断材料にするためです。組織運営は「ヒトモノカネ」と言われますが、モノとカネに関しては従来からも客観的な指標で判断できました。ところが、ヒトに関しては指標がない。企業が人材をどのようにマネジメントしているかは不透明なままでした。それでは投資の判断ができない、何とかしろ、という風潮が強まりISO30414が作られる運びとなったのです。

ISO30414はグローバルでは、企業は投資家や金融機関などの要求に応える形で活発に取り入れています。今は国際間の壁はなくなっている時代ですので、日本も追随の動きが出ています。また、投資以外の面でも企業を評価する一つの基準としての活用も広まりつつあります。具体的には格付けなどです。近い将来は採用活動でも活用される可能性は十分にあるでしょう。ISO30414の評価が高いということは、それだけ人事・人材マネジメントに力を入れているということですからね。PRの材料として使う企業が出てきても、何ら不思議はありません。

何をどう数値化するのか。

ここで、2つの疑問が出ると思います。1つは何をあるいはどの分野を数値化するか。もう1つはどのように数値化するか、です。

前者についてはIOS 30414の中身を確認すると回答が示されています。ISO30414は労働力、ダイバーシティ、リーダーシップ、後継者計画、生産性、採用・異動・離職など、11領域を58のメトリック(測定基準)で情報開示せよと指示しています。後者についてもISO30414で計算式が公開されています。つまり、ISO30414に準拠すれば問題ないわけで、ももとも国際標準とはそうした性質のものです。

ただ、ではすぐにでも自社の人事・人材マネジメントを数値化できるかというとそうでもありません。問題はISO30414に則って値を出す際、その元となる数値をどこから持ってくるかです。「うちはダイバーシティに力を入れているし、改善の余地はあるけど、10点満点中9点だろう」なんてわけにはいかないのです。そんな客観的数値があるはずないですし。

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ISO30414とHRテクノロジーの密接な関係。

ISO30414とは切っても切り離せないものがあります。それはHRテクノロジーです。HRテクノロジーは、これもごく簡単に言ってしまうと、人事・人材マネジメントのデータ活用です。人事・人材マネジメントにまつわるデータを集め、有効に活用するのがHRテクノロジーです。ISO30414の準拠を目指すなら、HRテクノロジーを導入しないことには成しえることはほぼ不可能でしょう。実はISO30414の創出はHRテクノロジーと密接な関係があります。人事・人材マネジメントがHRテクノロジーでデータ化できるようになったので、全世界共通の手法でで測定できるようになったと言っても過言ではないのです。

IOS 30414への準拠を目指す場合は、まずHRテクノロジーを導入しデータ化を行う必要があります。人事・人材マネジメントのすべてを一度にデータ化するのはなかなか困難ですので、通常は要求度の高いところからHRテクノロジーを導入することになります。別の見方をするなら、IOS 30414はHRテクノロジー導入のガイドラインとも捉えられるでしょう。人事・人材マネジメントのどの部分の数値が必要かということは、すなわちどの分野でHRテクノロジーが必要かということとほぼ同義だからです。

(まとめ)
以上ざっくりとISO30414について解説しました。細かな話は抜きにして、要点だけを伝えています。このため、ISO30414に関する重要な思想や背景が抜け落ちる説明になったところもありますが、ご了承ください。ISO30414とは、人事・人材マネジメントの数値化の国際標準で、数値化のためにはHRテクノロジーでデータを集める必要があると、まずはその点だけなんとなくつかんでくださればと思います。

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