求人広告には非常にはっきりとした目的があります。それは言うまでもなく「人材を採用すること」です。ただし、人材採用ということについて、実は深く考える必要があります。この点を安易に考えると、求人広告はもちろんのこと、採用活動そのものも安易になるのではないかと考えられます。
求人募集と人材採用
まず求人募集と人材採用はニアイコールの関係ですが、必ずしもイコールとは言えない側面があります。求人募集は人材採用の一つ前の工程と言えるからです。求人広告の役割としては、募集までと言えるかもしれません。人材が募集した後は、基本的には求職者と企業とのやり取りになるからです。一部、求人広告の営業担当らがサポートすることもありますが、限度があり、完全に入り込むことはできません。
ただし、だからといって、募集のところだけに力点を置き過ぎると、求人広告が本来の役割からズレてきます。ありがちなのが、母集団の形成を目的にすることです。母集団の形成は人材採用で必要な要素の一つですが、手段であって目的ではありません。また、数を集めることだけにとらわれ過ぎると、誇大広告を打つことも考えられます。誇大広告とまでいかなくても、いわゆるグレーゾーンの書き方をして「委細面談」と記しておけば問題はないように感じるかもしれませんが、求職者と企業の信頼関係を構築する上では、大きな障害となることが予想されます。
近年はエンゲージメント(企業への愛着、定着率)が注目されていますが、募集の段階からつまずいていては得策ではないのです。求人広告に限ったことではありませんが、本当のことを書くのは、広告規定や倫理の問題以前にとても大事なことなのだと考えられます。
人材採用のゴール地点
人材採用について深く考えてみたいと思います。人材採用は、特に成果の側面から見ると、なかなか一口では語れないところがあります。採用を単純に入社人数でとらえれば話は簡単なのですが、会社の側から見ると、その人材が活躍してもらわないことには何のための人材採用なのかわかりません。さらに、何を持って活躍とするのかという問題も出てきます。「3年後に部門長になってほしい」という名目で人材採用を行ったなら、その成否は少なくとも3年経つまではわからないことにもなります。
こうした観点からすると、求人広告の成否は少しも簡単には語れないと理解できます。もちろん、このことは求人広告だけの問題ではなく、人材採用あるいは人材育成を含め、人事・HR全体を見てとらえるべきことです。その中で、求人広告の果たす役割は、もしかしたら小さいのかもしれません。しかし、求人広告は企業または仕事と求職者が初めに出合う接点となるところです。第一印象の大切さは昨今さまざまなところで言われています。その意味で、求人広告の果たす役割は決して小さいとは言えないはずです。私としてはやはり、真の意味での人材採用につながる求人広告を手がけたいと思っていますすし、いつでのその姿勢で制作に取り組んでいます。
求人広告は非常に見られる(読み込まれる)メディア
ここからは少し蛇足になりますが、求人広告をメディア・宣伝媒体と考えた場合、その効果と効率、影響力は尋常ならざるものがあります。求人広告はその性質上、じっくり読まれるものです。企業広告をじっくり読むのは、実際のところ、その企業の従業員と広告業界の人だけではないでしょうか。一方、求人広告はかなりしっかりと読み込まれます。自らの就業先になる可能性があるのですから、できるだけ多くの情報を取得しておきたいと考えるのが人情です。これまで何の接点もなかった人が、あなたの企業についてかなりの程度詳しくなってくれるのです。
また、ネット媒体ですと、媒体社側がかなりのSEO(上位検索)対策の対策をしてくれます。SEO対策に加えて、会員(求職者)獲得のために大々的なプロモーションを行うことも少なくありません。一社ではとうてい行えないような規模ですので、通常はなかなかアプローチできないような人材にもアプローチできます。
こうした観点から眺めてみますと、求人広告は非常に有効なメディアであると理解できます。求人の役割を果たしながら、一定の副次的効果も期待できるのです。上手に活用し、より良い求人広告を世に送り出していきましょう。そのための支援は惜しみません。