KCCの求人レポート（2021年5月30日発表）

‘21年5月、KCCによる求人レポートです。5月10日に解除が予定されていた東京都の緊急事態宣言は、終了間際になって5月31日までの延長を発表。さらに5月28日になると、6月20日まで再び延長されることが発表されました。

これに伴って各種商業施設や飲食店に休業や時短・アルコールの提供自粛の要請が続いている状況です。コロナ禍によって景気状態を示すグラフは、「K」の字のように好調な業界と不調な業界で2分されてきているとの意見も頻繁に耳にするようになりました。

長引くコロナ禍のなか、自社採用の次の一手は何をすべきか？そのヒントに、KCCの求人レポートが役立てば幸いです。

求人倍率について（2021年3月）

‘21年3月（’21年4月に発表）の全体求人倍率は1.86倍（前月比-0.06pt／前年同月比-0.68pt）。求人倍率はマイナスに転じました。「doda」の解説によると『求人数が減少し、転職希望者数は増加したため、求人倍率は下降。※求人数は前月比98.4%、前年同月比79.3％。転職希望者数は前月比101.3%、前年同月比108.0%』とあります。2月とは逆転現象がおきているようです。

業種ごとの傾向を見ると、「メディア」「IT・通信」「メーカー」の3業種で増加。「doda」の解説によると『前月比で求人の増加率が最も大きかったのは「メディア」（前月比105.8％）、次いで「IT・通信」（前月比101.1％）。前年同月比では「商社・流通」（前年同月比93.2％）、前年同月比では「IT・通信」（前年同月比88.5％）、次いで「サービス」（前年同月比87.3％）の順に落ち込みが少なかった。』とのことでした。

※厚生労働省が発表している‘21年2月の有効求人倍率（季節調整値）は1.10倍です。

求人媒体各社の求人掲載数は？

「doda」「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「エン転職」の主要4媒体に加えて、「type」「re就活」の求人広告件数は、合計で163,996件（前月比＋8,601件）。直接応募が可能な求人広告の掲載件数は「リクナビNEXT」がトップシェアをキープ（「doda」は人材紹介からの応募のみを受け付けている求人広告が多数含まれています）。今月は、「doda」が前月から＋4,600件、「マイナビ転職」が前月から＋2,955件となっており、他の媒体より抜き出て掲載数を伸ばしていることに注目です。この2媒体は、転職エージェントの求人広告（直接応募は不可）も扱っているため、その影響が大きいと考えられます。

IT求人数についての考察

「IT・通信」業界における4月の求人数は34,550件。前月比で見ると＋1,608件の増加です。今年の1月から振り返ってみても「IT・通信」業界は増加を続けています。とくに求人数の増加が多かったのは「doda」で＋1,054件。続いて「マイナビ転職」の＋264件という結果になりました。相変わらず「doda」は、「IT・通信」業界に強いようです。

コロナ禍でも景気の良い「IT・通信」業界。ITエンジニアの採用競争は、ますます激しさを増しています。中途採用業界を俯瞰していると昨今では、求人媒体だけでなく、リファラル採用やダイレクトソーシングに力を入れている企業が目立ってきたことも感じます。