求人広告、作成・コンセプトメイキングの具体例

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「求人広告(採用コンテンツ)、超作成法」で求人広告(採用コンテンツ)作成の一連の流れをご紹介しました。紹介した作成法を用いてどのような求人広告が出来上がるのか、具体例を知りたいという要望があると思いますので、具体的に求人広告が作られていく過程をご紹介したいと思います。見ていただきたいのは、制作過程における考え方です。結果(言葉・コピー)だけを見ても、貴社に当てはまるかはわかりません。汎用性の高い例を取り上げますが、おそらく当てはまらないと思います。ぜひ考え方のエッセンスをつかみ、応用してください!

(簡単にコンセプトのおさらい)
コンセプトは求人広告の「核」になる主題、主張、テーマと言うべきものです。求人広告に即していうと、ターゲットが求めるもの、ターゲットを幸せにする情報、ターゲットを動かす発想・着眼点、と考えればわかりやすいでしょう。簡単に訴求点や打ち出しと考えても大きな問題はありません。

よくある飲食店の求人を取り上げます。

求人票
業態:サラリーマン向けの居酒屋、都内に3店舗展開
特徴:20年続いている、評判は良く売上は年々上昇、スタッフ同士の仲がいい募集職種:店長候補
ターゲット:経験者(バイト経験可)、20男性が理想
仕事内容:ホール、簡単な調理、メニュー提案などできる
年収:300~350万円
就業環境:月6日休み(シフト制)、残業は少ないが夜勤、実態として早出あり。

都内に3店舗展開できるのは、企業としてはかなり優秀です。ただし、求人上ではよくある例であり、正直、採用力は強いとは言えません。むしろ弱い部類です。

こうした企業は、取材をすると「おもしろい話」が聞けることは少なくありません。しかし、それが求人広告に使えるかどうかは別問題です。また、今回は便宜上、いろいろ探ってはみたものの企業の強みは上記以上は出てこなかったとします。

さて、ここまでの情報で求人広告のテーマ、つまりコンセプト(訴求点・打ち出し)を考えると、おそらく下記のような感じになるのではないでしょうか。わかりやすくキャッチコピー的なものに落とし込んでいます。

・地元で20年続く繁盛店。あなたの新たな活躍の場にしませんか。
・月6日休み、残業少なめで、ワークライフバランスが整います。
・スタッフ同士の仲が良い居心地のいいお店。裁量は大きく、メニューの提案も歓迎。

いずれもよくあるコンセプトで、決して悪いわけではありません。良く言えば、企業の特徴をちゃんと捉えています。悪く言えばありきたりで、同業他社、採用上の競合と差別化が図れているとは言えず、効果についても疑問符がつきます。

どのようにしたらこの企業らしく、かつ差別化が図れ、ターゲットの目を引く内容になるでしょうか。ここで行ってほしいのが、ターゲットに目を向ける、ターゲットで差別化を図る、ということです。

求人企業に合った人材、ターゲットとは

企業からヒアリングしたメインターゲットは以下のようにまとめられます。

高卒、20~23くらい
正社員経験はなくていいが、飲食店(居酒屋)の経験は必須。
親分肌タイプで、スタッフマネジメントしてほしい。
バイトリーダーをやっている人だといいかも。

ここでこのターゲットが「何を求めているか」を深く考えます。最近は「ペルソナ」という言葉をよく聞きますが、そのペルソナが何を求めているかを追求しないことには、人物設定をいくらしたところで意味がありません(求人広告ではターゲットセグメントという言葉をよく使うので、ここでもターゲットセグメントを使います)。

ここからはやや空想も入れながらターゲットセグメントしていきます。こんな具合です。

ターゲットはバイトなので年収200万円くらいか。親分肌でバイトリーダーをするほどだからそれなりの人望もあり、恋人もいるだろう。ただ、結婚はまだだと思われる。年齢的にそろそろ安定したいと考えているはず……。そうだ、「安定性」をテーマにしよう。

・20年間、お客様の足が絶えません。この先も繁盛が期待できます。

……うーん、まだまだ可もなく不可もなくです。このままだとまだまだ「企業目線」でターゲットへの十分な訴求ができていないところもあります。正直、今回の求人は正攻法では効果を出すのは難しい。思い切った訴求をしたいところです。

ターゲットについてさらに寄り添い考えてみると、

安定を求めているのは間違いないだろう。ただ、自分の生活をよくしたいというより、彼女がいるから安定をより求めているのではないか。きっと彼女とのこれからを真剣に考えている。

そこで、「パートナーを安心させられる環境がある」をテーマにコンセプトを考えてみるとします。想定年収300~350万円は決して高いとは言えませんが、ターゲットの現状の年収は200万円で、ターゲットからすれば一気に100万円以上あがる計算になります。金銭的余裕はかなり生まれるでしょう。その点にも着目します。

年に1回、貯めた給与でパートナーにプレゼントをしよう。

これなら、現状バイトで年収200万円のターゲットは興味を引き付けられるのでないでしょうか。変に背伸びしていないところもポイントです。思い切った内容ですが、ターゲットにはマッチしていると考え、また、競合他社もここまでは踏み込んでこないでしょう。うまいこと、コンセプトを端的に言い表せました。

コンセプトが決まれば、求人広告の軸が決まり、原稿制作が非常にしやすくなります。全体の内容を「パートナーを安心させられる」に帰結するようにします。例えば、残業がないことも、パートナーとの時間を大切にできる、と言い換えるなどします。こうした細かな配慮は必ず大きな差となり、効果に大きな影響をもたらします。

いかがでしょうか。コンセプトメイキングの具体的な制作の流れや考え方を提示させていただきました。繰り返しになりますが、このコンセプトがそのままどの企業にも当てはまるとは限りません。ベストなコンセプトは一社一社違いますし、上記の例ではあまり考慮しませんでしたが、その時々の時流、景気の好不況にも影響されます。見てほしいのはあくまで考え方です。参考にしていただき、より良い求人広告の作成、採用につなげていただければこれに勝る喜びはありません。

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