【コラム】求人広告は社長が作成すべきか

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時々「求人広告は自社で作成すべきだ。特に社長自らが作ったほうがいい。なぜなら、社長がもっとも自社を理解しているからだ。デザインはともかく、記事(コピー)は社長が書くべきだ」という意見というか、強い主張を耳にすることがあります。

これについては、「書く」という行為を物理的な行為とみなした場合は、イエスと言えないこともありません。一方、「書く」という行為をコンセプトメイキングなど考えることも含めた行為とみなした場合は、8割がたはノーです。詳しく解説しましょう。

求人広告の作成には専門的な知識が必要

まず伝えておかねばならないのが、求人広告の作成には、他の仕事がそうであるのと同様に、専門的な知識や経験が求められるということです。自社を知っていれば書けるというものではありません。求人広告作成のノウハウは必要です。求人市場の動向、他社がどんな求人広告を作っているか、などの情報も欠かせません。知識や経験がなくても、文章(コピー)の形にはできますが、それが効果的なものであるかどうかは疑問の余地があるでしょう。

「求人広告(採用コンテンツ)、超作成方法」シリーズで広告には設計や企画、コンセプトメイキングが欠かせないという話をしました(同シリーズでは「誰が・誰に・何を・いかに」という考え方を紹介も紹介しています。ぜひご参照ください!)。このうち広告設計や企画の部分をがっちり固めた上で、最終的な表現、つまり具体的な文章の部分を社長をはじめ、内部の人間が行うというのなら、賛同はできます。熱く味のある文章に仕上がる可能性は十分にあり得ます。逆に「こういうアイデアで求人広告を作りたい。うまく書いてくれ」と、広告設計、企画の部分を自社で考え、表現だけを外部に任せるのははっきり言ってオススメできません。多くの場合、かなりの矛盾やムリをはらんだ広告になりがちだからです。

「自分で書け」のアドバイスが独り歩きしている

実は、自社広告の作成は、難易度が高いのです。自社については客観性が失われがちで、よそから見ると何が良いのか、内側にいては非常にとらえづらい。自社のことを知り過ぎて、何でも良く見えるし、悪く見えもする。何をどう書いても今一つしっくりことないことが多いのです。

このように難易度が高いはずの自社広告なのですが、自社で作成しようとするトライがなぜ出てくるのか。一つ考えられるのは、コンサルタントが社長による作成を推奨したことが挙げられます。しかし、よくよく話を聞いてみると、コンサルタントは考える部分は自ら行っています。あるいは、自ら考えるとはいかないまでも、ノウハウをしっかりと伝授した上で、「会社をよく知るあなた(社長)自身で書きなさい」と言っているのです。おそらくこの「社長が書け」の部分だけが独り歩きし、自社で作ったほうがいいとなったのでしょう。

コンサルタントは非ライターで書くことは本来の仕事ではありません。つまり、考えるという自分の領分の仕事をしたら、後は他の人にやってもらったほうがいいわけです。だから、「社長が書いたほうがいい」ということになるのです。さらに言えば、社長自身に書いてもらったほうが、広告の成否に関わらず納得できるということもあります。また、最終的に社長、場合によっては採用担当者、が自分で書くことが決まっていれば、打ち合わせの段階から前のめりな姿勢で求人に向き合える効用もあるでしょう。コンサルタントがここまで考えているかは不明ですが。

公開中のノウハウを活用してほしい

私自身、かなりのノウハウをここで伝えています。それこそ、しっかり読み込んで実行していただければ、自社で求人広告をはじめ、採用コンテンツが作成できるくらいに、詳細に書き込んでいます。求人広告の全体の質を上げるのは、自分の使命の一つと捉えていますので、ノウハウを公開しているのです。

ということで、最初のほうと少し結論がズレてくるところもありますが、当サイトのノウハウを使っていただければ、自社制作も十分に可能です。また、社長が書くべきとまでは言いませんが、自社についてさらに深く理解する意味でも、一度くらいは自ら書くのはいいことだと思っています。

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